君に疵を残すのが、この手だけであればいい



 白い白い部屋の中。
 機械に囲まれベッドに身を起こした少女は、抱きしめるようにその白の手指を胸元に抱く。
 軽いような、その手指。
 見つめる白の指先には、何の装飾もなく。
「骸様…。……ボ、ス。」
 呟きは、夜に満ちて、果敢無く溶けゆき―――。
「よぉ、邪魔するぞ」
 カタン、と微かな音を立てて開いた扉の向こう、白を基調とした部屋には何ともそぐわない、黒衣に身を包んだひどく小さな姿が、一つ。
 最後に見たのは、小さな島国の片隅。
 髑髏たちを、イタリアへ来るようにと唆した、日。
 明らかな赤子姿でありながら、その姿こそが異端であると証すように、赤子らしからぬ服装と所作と、黒々と底の読めない瞳でベッドの上に上身を起こす髑髏を見遣ってくるリボーンに。
「―――私、何かできることがあるの?」
 縋るような気持ちのままに、囁きの強さで問いかける少女の声に宿るのは、芽吹き始めの若芽のようにひどくやわらかで頼りない、それでもあると知れる、少女自身の、意志。





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