忘れてください苦しめたくない。



「骸様!やめてぇっ!!」

 短く艶やかな黒髪が、鮮やかに空に揺れ。
 いつも静かな少女が、泣きそうに痛む声で、絶叫した。


* * *


 深く藍を宿した黒髪が、青年の動きの軌跡を辿る。
 その奥に、血と夕闇の色のオッド・アイ。
 消していたはずの気配に気付いたのか青年はあっさりと振り向き、振り向いたその端正な顔がうっそりと笑み歪み、おどけるようにホールド・アップの姿勢をとる。

「それがお前の答えなのか、六道骸」

 突きつけられた、黒の銃口。
 黒衣の赤ん坊が、疑問系ですらない静かな声で、淡々と問う。


 答えは、ない。





--------------------
next or koyubi-top