ピエタ・ラクリマ  ―黎明・U―



「さびしくないの?」

 それは、どんな話の流れだったろう?
 いつか、遠くもない過去に自分が彼女に問いかけた言葉だ。
 あの時は純粋な想いから聞いたつもりの問いは、いま思えばなんて意地の悪いものだったのかと、思う。
 会えない原因を作った人間が。
 肉の身体で会ったことがないことを、間違いなく知っている自分が。
 その言葉に、少女は片方だけの瞳を軽く見開いて。
 それからどこか、不思議そうにぱちりと一度、大きな瞳を瞬く。
「どうして?」
「え、?」
「さびしくなんて、ないわ。いつも骸様は、話してくれるし、見ててくれる。だから私は生きてる」

 それはとても、しあわせで。
 それでどうして、さびしいの?

 とても不思議そうに。
 少女は綱吉を見上げてくる。

「それに、ボスもいるもの」

 その、素直な言葉に。
 自分は何と、答えたのだったろうか。





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